塩をとりすぎると高血圧になる。塩は1日10g以下にしなくてはならない。と言われます。
どこまで気を付けなければならないのでしょうか。
昭和35年(1960)ダールが塩の消費量と高血圧発症率に比例するという論文発表が米国で注目され、塩=高血圧の考えが定着しました。その後多くの反対論文もありましたが、修正されていません。
高血圧患者で減塩が極めて有効な人がいます。ナトリウム感受性高血圧といいます。こういう人は食塩摂取に厳重な注意がいります。また降圧剤を飲んでいる人で食塩を制限すると有効な人もいます。しかし、大多数の人は塩をとる量の若干の増減の影響はあるとしても微々たるものかほとんど関係ないといえそうです。
通常の人は、減塩よりもバランスのとれた食事を楽しくとることに気を付けた方が健康的といえるでしょう。
少しだけデータを紹介します。最大の反証は昭和63年(1988)32ヶ国52の専門機関が協力して行った国際共同研究(インターソルトスタディ)で文明社会の結果は血圧と塩分摂取量に関係ないという結果が出たことでしょう。
低Na摂取領域とは図の左側4点で、アマゾン、ニューギニアなどの低開発領域で食塩をほとんどとっていない地域。
寿命が短く高年齢のデータはない。
減塩がどこまで効果があるかを調べた例では、正常な人はやや血圧が下がる傾向はあるが、
上昇の人も多く、減塩が血圧低下に役立つという結果は出ていません。