肝硬変といっても、全ての人に症状があるわけではありません。
初期の頃にはほとんど症状はありません。
肝硬変のほとんどが無症状なので、健康診断で偶然発見されることもあります。
それは、肝臓には「代償能」という機能があり、
肝臓の一部に障害が起こっても、残りの部分がそれをカバーして働くためです。
しかし、その機能にも限界があり肝硬変の病状の進行とともに様々な症状がでてきます。
ほとんどの場合、無症状が続いて気付かないのです。
機能が正常な状態の1/3程度まで働かなくなった辺りで、ようやく症状が出てくる事が多いのです。
肝硬変は症状の有無により2種類あります。
肝臓は一部で障害があっても周りがカバー(代謝)して正常に機能しますが、
症状が進むと代謝にも限界があるのでカバーしきれなくなる事で様々な症状を引き起こすのです。
初期の状態で自覚症状も無く肝臓が通常通り働いている場合
「代償性肝硬変」
症状が進行して腹水・黄疸・意識障害を起こしている状態
「非代償肝硬変」
肝硬変の初期、まだ肝機能が死んでいない場合は・・・
全身倦怠感、疲れやすい、疲労感、無気力、食欲不振、アルコールに弱くなる
などの漠然とした症状で始まり、気付かない場合や自覚症状がない場合も多くあります。
そして、腹部の膨満感、鼓腸(腸にガスがたまる)、吐き気と言った症状が始まります。
腹の張るような感じ、微熱、腹痛などを訴えることもあります。
そして肝機能も落ち肝硬変が進行すると、非代償期という肝機能の障害の強い時期になります。
悪化すると腹水や黄疸などの様々な他覚症状が現れますが、これが非代償期に入ったサインです。
お腹がなんとなく膨らんできて、鏡の前に立ち、横からみて下腹部が異常にとび出していたり、
あお向けの状態で腹のふくらみが横へ広がるようだったら、
腹のなかに水(腹水)がたまっているかもしれません。
(単なる脂肪だけなら、腹の皮を厚くつまめます。)
この辺りの症状が出た場合は、相当病気が進んだ証拠ですので
診察を受けていない人はすぐに病院へ行く事をオススメします。
病状が進むにつれて肝硬変の患者の身体に現われる特有の症状としては、
くも状血管腫と手掌紅斑があります。
これらは病気のない方にもそれぞれ単独で出ることもありますが、
この両者が同時に出る場合は肝硬変の可能性が高いとされています。
その他、非代償期になると次のような症状が出現してきます。
症状が現れる場合は・・・
皮膚色素沈着(症状が進行するにつれ、皮膚がメラニン色素増加の為に『どす黒く』なります。)、
全身倦怠感、食欲不振、発熱、腹部膨満、出血、貧血などです。
浮腫・足のこむら返りが起こりやすいなどの症状も要注意です。
肝硬変の症状が重症となった進行例では・・・
黄疸や腹水、食道静脈瘤、アンモニア臭様の口臭、意識障害などが現れます。
食道や胃の静脈瘤が破れ破裂して出血すると、
大量の血を吐いたり(吐血)、コールタールのような便になったり(下血)、
いずれにしても大量の出血を引き起こす危険性があります。
さらに病状が進むと・・・
手の震え、意識障害や昏睡状態(肝性昏睡)などの精神・神経症状も出てきます。
吐血や精神症状・昏睡を示すようになったら非常に危険な状態といえます。