調理の段階でもミネラルは失われている 米、野菜、それに食肉や魚といった食材に、昔ほどのミネラルは期待できません。 そればかりでなく、調理の段階でもミネラルを失っています。 もともと少量しか含まれていないミネラルを、加工の段階でさらに少なくしてしまっているのです。 調理の段階でミネラルを奪う元凶は水です。 食材を洗い、煮込み、茹でる際に使用する水に大きな問題があるのです。 たとえば、米を例に取りましょう。 ご飯を炊く前に、米を研がない家庭はないでしょう。少なくても3回くらいは研ぐはずです。 この3回研ぎで多くのミネラルが奪われてしまいます。 ある調査では、カリウム50%、マグネシウム53%、リン50%、鉄54%、マンガン33%、 カルシウム23%、亜鉛10%がそれぞれ失われるとされています。 これだけのミネラルが失われる理由は、水に含まれる塩素です。 塩素がミネラルを酸化してしまうのです。 米だけではありません。魚や野菜を煮たり、茹でたりする際にも、塩素を含んだ水道水は使われます。 ミネラルを酸化してしまう水で食材を洗い、さらに調理にも使います。 鍋のなかの魚や野菜は、すでにミネラルの少ない材料です。 その少ないミネラルしか持たない材料を酸化力の強い水道水で調理することで、 私達はさらにミネラルを減らしているのです。 もう十分にお分かりだと思いますが、私達の食事は材料からしてミネラル不足であるうえ、 おいしく食べるためにミネラルが減るような手を加えています。 その結果、私達の体は慢性的なミネラル不足に陥っているのです。 先に、ミネラルの持つ素材機能と複合補助機能の二つの大切な機能を紹介しましたが、 それぞれのミネラルが主に担当する機能があります。 いわば「主役としての顔」です。 ここでは主なミネラルの顔について紹介いたしましょう。 「カルシウム」 カルシウムと言うとすぐに骨が思い浮かびますが、血液をアルカリ性に保っておく重要な役割を担っています。 体内の99%のカルシウムは骨や歯をつくる材料になっていますが、 残りの1%の半分が血液や神経、筋肉、臓器のなかにタンパク質と結合した形で存在し、 半分はカルシウム・イオンとして存在しています。 筋肉はカルシウムがあって初めて収縮できるので、 カルシウムが不足すると心臓の筋肉の収縮力が低下します。 また、カルシウムは神経細胞の働きとも密接な関係があり、 カルシウムが不足するとイライラしたり、興奮するのはそのためです。 「ナトリウムとカリウム」 ナトリウムは悪役のように言われますが、体液の量を調節したり、 筋肉や神経の働きをスムーズに保つ働きをしています。 また、カリウムは筋肉を動かすためのエネルギーを作り出し、 カリウムの不足は無気力、食欲不振などの症状に結びつきます。 そして、ナトリウムとカリウムは、体液の濃度バランスを協力して保つ重要な働きをしています。 「リン」 リンはカルシウムと結びついてリン酸カルシウムとなり、骨をつくります。 また、エネルギーを生み出すために働いたり、 遺伝子本体や遺伝情報を伝えるDNAやRNAの成分にもなっています。 さらに、体内の酸とアルカリのバランスを取る働きもあります。 「鉄」 体内の鉄の約65%は、赤血球のヘモグロビンの成分になっています。 ヘモグロビンは肺で酸素と結びつき、体をめぐって酸素を各細胞に供給します。 私達が生きていられるのは、このヘモグロビンによる酸素供給があるからです。 「銅」 銅は、ヘモグロビンの合成に欠かせないミネラルです。 したがって、銅の不足は血液中のヘモグロビンを減少させ、貧血を招く原因となります。 また、銅は老化防止や健康維持にも重要な働きをします。 私達の体のなかで発生する活性酸素は老化を早めたり病気の様々な原因になりましたが、 その活性酸素を分解する酵素がSODでした。 SODは亜鉛と銅を含んでおり銅の欠乏は老化防止や健康維持に重要なSOD不足につながるからです。 「セレニウム」 セレニウムはビタミンEの働きを助け、体内に過酸化脂質をつくらせない抗酸化作用があります。 過酸化脂質が体内に増えると、血管の内側の膜をつくっている細胞が破壊され、 そこから悪玉コレステロールが血管に侵入し、やがて動脈硬化に至ります。 また、過酸化脂質は血管をつまらせる血栓の元にもなります。 最近では、セレニウムの持つ制ガン作用に大きな注目が集まっています。 これらのミネラルはバランスよく取ることが重要です。 バランスの偏った取り方を続けると害になる場合も生じてきますので、 その点は十分に留意しなければなりません。 |