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 物忘れについて

  

記憶のメカニズム

 分かりやすく例えると記憶の箱は、2つあります。日常の出来事は、まず一時保管用の箱に入ります。例えば食事内容とか、人に会った事など日常の出来事などです。そして必要のない物は2日ほどで忘れられ、大事な事が保存用記憶の箱の中に保存されていきます。認知症では、まず一時保管の記憶が障害されます。だから認知症になると食べてすぐの食事の内容を思い出せなかったり、ひどくなれば食事をした事そのものを忘れてしまいます。さらに認知症が進行すると保存用の記憶も障害されます。例えば初めは、自分の年は言えなくても生年月日は覚えていますが、進行するとそれすら出てきません。

危険な物忘れ

 加齢と共に起きる物忘れ(良性健忘)としては、人の名前が出てこない、買い物する時何か買い忘れる、漢字を思い出せないなどがあり生理的な物で心配いりません。

 日記をつける事は、その日の事を思い出しますから認知症の予防になります。新聞を熟読する事、趣味を持つ事も良い事です。

 注意すべき物忘れとして、数時間前にした事が思い出せない(食事内容、人と会った事)。一連の会話の中で、同じ事を何回も繰り返す。言葉の意味が理解できない(醤油を取ってと言ったのに、お皿を出したり、電気をつけたり)。

 さらに進むと、自分の年齢を言えない。身近な人が解らなくなるなどです。

認知症の早期発見

 以上述べた事が代表例ですが、百人百様で個人差がありますから、家族がおかしいと思ったら早めに専門医を受診することです。

 物忘れ外来、神経内科、精神科などが専門医です。その際の注意点は事情を知っている家族が必ず同伴する。出来れば異常と思われる事をメモして行く事です。初期の段階では人、医師と会う時は普通に会話されるので、初めて会った医師では解らない事がありますから。また、今飲んでいる薬を全部持っていく事です。薬の副作用で認知症に似た症状を起こす事があります(特に抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬など)。また高齢者では複数の病院で投薬され同種類の薬がだぶっていたりする事があります。日頃から病院は違っても薬局は1カ所に決めておいてください。

早期発見の重要性

 アルツハイマー病には、進行を遅らせる塩酸ドネペジルという薬があります。また脳血管性認知症では、再発を防ぐ抗血小板薬を使い、早期に治療が出来ます。 

潜在性脳梗塞(無症候性脳梗塞)

 脳血管性認知症は脳出血、脳梗塞の後遺症ですが、全然症状の無い脳梗塞があり潜在性脳梗塞と言います。小さいものが多いのですが脳血管性認知症の3割が本症によるものです。自覚症が無いので診断がつきません。物忘れが気になれば出来れば、頭部MRをとって診断がつけば、抗血小板薬を早期に服用しましょう。

生活習慣病の管理

 

 認知症になりやすい要因としては、加齢、頭部打撲の既往症、生活習慣病の3つがあります。コントロールの悪い糖尿病の人は、アルツハイマー病に2倍なりやすく、運動を全くしない人も2倍なりやすいと言われています。また高血圧の人も動脈硬化から認知症になりやすいのです。生活習慣病はきちんと治療を受け日常生活に注意しましょう。

                                                  

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