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   お風呂と温度 

 

あなたは、何度のお風呂に入っていますか?

日本人は、熱いお風呂が好きです。

「そうじゃないと温まった気がしないから」と、そう思い込んできているのです。

日本人はお風呂が好きな国民ですが、正しい体にいいお風呂の入り方を知りません。

それどころか、体に良くない入浴法をいつもしているのです。

それは、小さい子供の頃から、親に「肩までつかって、100数えてあがりなさい」と言われてきて、

その様にするのが正しいと思い込んできています。

その習慣が大人になってもずっと続いてきていて、全身つからないといけないと思い込んでいるのです。

それに熱いお湯につからないと温まらないと思い込んでいるのです。

だから、4243度あるような熱い温度のお風呂に入っているのです。

中には45度という人もいて、平均でも41~42℃位といわれています。

「私は、お風呂はいつもぬるめに入っています。」という人たちでも、実際に計ってみたら41℃以上が多いです。

それに、めんどくさいから、暑いからと湯舟につからず、シャワーだけですませていませんか?

何℃にすればいいの?

せっかくのバスタイムたくさんの効果が期待できるのに熱いお湯に入ったのではまるでNG!

お風呂のお湯の温度は何度が一番良いのか知っていますか?

最近ではお風呂の入り方も健康療法として注目されています。

身体にとって理想的とされるのは38~40℃の体温に近い温度です。

入り方としてはみぞおちくらいまでのお湯にゆっくり入る半身浴がよいようです。

 

お風呂用温度計を使ってみましょう。

では、38℃〜42℃はどれくらいの熱さでしょう?

38℃といえば自分が考えるよりずっとぬるいお湯です。

理想的な40度以下の温度を「不感浴」といい、

自律神経の副交感神経が優位に働き体はリラックスし、筋肉も弛緩しだします。

逆に42℃以上のお湯はかなりの熱さに感じる温度です。

42℃以上のお湯だと血圧が急激に上がり神経が興奮状態に、リラックスとはほど遠い状態になってしまいます。

40度以上の方が普段入っているような温度を「熱気浴」といって、

体の自律神経の交感神経が刺激され体全体が緊張し、血流が抑制された状態になり、

お風呂に入っても体はリラックスできず、逆に興奮してしまうのです。

就寝前などでは、体を休めるつもりで入っているお風呂で、かえって目がさえて眠れなくなるのです。

40℃前後のお風呂・・・1.副交感神経を刺激  2.眠気を誘う  3.リラックスする

42℃以上のお風呂・・・1.交感神経が緊張状態 2.興奮状態に 3.リラックスできない

さて、ただお風呂といってもその効果は絶大!

お湯の温度・入り方で得られる効果もまったく違います。

下記一覧表はその種類と効果を示したものです。

 

入浴温度

温  度

効   果

その他

高温浴

42

交感神経の緊張を促し心身を目覚めさせる

肌に刺激のある温度なので長時間の入浴は避ける

朝すっきり目覚めたい

温 浴

3942

一般的な入浴の温度、血液の循環が良くなる

むくみ・冷えを解消

微温浴

37~39℃

筋肉が弛緩し気分が鎮静する。

副交感神経に刺激を与え眠気を誘う。

リラックス効果大

疲れを取る

ゆっくり眠りたい

肌を綺麗にしたい

肩こり解消

スリムな体を保ちたい

不感温浴

3437

熱くも冷たくも感じない温度血圧や心拍に変化がなくカロリ−の消費も少ない。

低温浴

3424

体の熱生産が始まりカロリ−が消費される

(プ−ルの温度)

冷温浴

24以下

かなり冷たく感じる水

但し、夏と冬では多少の違いがあるので夏なら38℃、冬なら40℃を目安に考えると良いと思います。

自律神経とは?

人間の身体は意思に関係なく、自律神経によって調整されています。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、互いに反対の働きをしています。

交感神経

心臓や筋肉などのはたらきを高めるなど、身体を活動的にするように作用します。

交感神経とは、昼の神経と言われ、体・筋肉などが緊張し、興奮した状態です。

副交感神経

血管を拡張したり、動悸を鎮めるなど、身体をリラックスさせ休めるように作用します。

副交感神経とは、夜の神経と言われ、体・筋肉などが弛緩し、リラックスし血流が増すのです。

(寝る時、食事の時などに優位に働くのです。)

腸の場合

腸の働きも、副交感神経が支配しており、

緊張したり、ストレスがたまると、下痢になったり便秘になったりするのは、

交感神経が優位に働き、副交感神経の働きがにぶり、腸の働きが抑制される為に起こるのです。

逆に言うと便秘がちな人は、ストレスなどがたまり、

交感神経が常に優位に働いていて、体が緊張した状態なのかもしれません。

普段は、これらの交感神経と副交感神経が拮抗して働いているのです。

入浴中、交感神経と副交感神経のどちらが働くかは、湯の温度に左右されます。

ぬるめ(夏なら38度、冬なら40度位)の風呂に入ると、副交感神経の働きが高まり、精神的に落ち着きます。

また、末梢神経も拡張するため、血圧が下がり、心臓の負担が軽くなります。

疲れているときに、ぬるめの風呂にゆっくり入るのがよいと言われるのはこのためです。

熱めの湯(42度)に入った直後は交感神経の緊張が高まり、抹消血管が収縮します。

そのため、心臓に負担がかかったり、一時的に血圧が上昇したりします。

熱さに慣れると交感神経の緊張がおさまり、血管が開き血圧は下がります。

しかし、10分以上湯に入ったままでいますと、内臓の血管が再び収縮して、血圧が上昇します。

この状態になると、心拍数や酸素の消費量も増大して、身体に負担がかかります。

血圧の高い人や高齢者、乳幼児は熱めの風呂は避けるべきです。

ぬるいお風呂

熱いお風呂はなぜ良くないの?

熱いお風呂はこんなに危険

お風呂での事故で多いのが転倒事故です。

お風呂から上がった途端めまいを起こし転倒

もともと高血圧の方の場合なら脳卒中を起こしてしまうこともあります。

この事故は最悪の場合死亡事故にまでつながってしまう危険性があるのです。

なぜこのような症状が起こるのでしょうか?

42℃以上の熱いお風呂に入ると血管が収縮し、血液の流れが悪くなり、血圧が上がります。

さらに肩までつかった状態で全身にかかる圧力は約1トンになります。

水圧に耐え、熱いお風呂で長湯をすれば体に良いはずがありません。

突然死

なんと“突然死”の原因の第2位は「熱いお風呂!」

なんと、突然死は入浴中が第2位という怖い調査結果が報告されています。

 

42度という熱めのお風呂に入ると血圧が一気に約50mmhg位アップし、

お湯から上がると一気に急降下するのです。

40度以下なら1020くらいの上昇で済むのです。)

この急激な変化に心臓や脳がついていけず、突然死にいたることがあるのです。

なんと年間約14,000~15,000人も亡くなるのです。

交通事故の死亡より多いのです。

熱いお風呂は、小さな子供さんや、お年寄りには不向きな温度の入り方なのです。

疲れを取って、リラックスしようと入ってるお風呂で、逆に体を悪くしているのです。

しかも、気づかないうちになるから怖いのです。

血栓症

「脳卒中や心筋梗塞などの血栓症が発生しやすくなる。」

入浴時は利尿ホルモンの分泌が増え、尿が膀胱に溜まって行きます。

脱水症状が進むので、血液が濃くなります。

熱い湯に入ると、発汗でさらに血液の粘度が増してドロドロの状態になります。

健康な成人8人に3分間、47度のお湯に入浴してもらい、

血液を調べたところ、血を固める血小板の働きが活発になることが分かりました。

血小板から「偽足」と呼ばれる突起が出て、血管壁や別の血小板とくっつきやすくなったほか、

血小板が血液凝固物質のフィブリノーゲンを放出し、さらに固まりやすくなっていました。

血液中には血栓を溶かす物質が存在するが、47度の湯に入ると、

この物質の働きを阻害するPAI-1という物質が増えることも判明しました。

こうしてますます血管が詰まりやすくなるのですね。

血圧変動

熱いお風呂は血圧変化に大きな影響

 

38℃と42℃のお湯につかった場合の血圧の変化を比べると、

42℃の場合は、入浴直後に収縮期血圧が40mmHg以上も一気に上昇し、

その後、5分程度で30mmHg程度も一気に下降します。

一方、38℃の場合は、入浴前後で血圧は安定しています。

 

入浴が身体にあたえる負担

入浴は健康的で清潔な毎日を送るために欠かせませんが、病気を持っている人などは注意が必要です。

例えば、脳出血や脳卒中などの発作の危険性をみると、

平均入浴時間を30分とした場合、

ほかの生活時間と比べて脳出血は1.8、その他の脳卒中では2.1と言う報告もあります。

 

 

 

入浴中に脳出血などの発作が起こりやすいのは、入浴による循環器系への負担が大きいためと考えられます。

上のグラフから分かるように、血圧値の如何にかかわらず、

入浴前後の着替えの時に心拍数の増加血圧の上昇がみられました。

これらの変化は、血圧が高めの人により大きく現れています。

入浴の後半には、正常な血圧の人に比べ、やや高めの人の心拍数が少なくなっています。

 

 

この結果から、入浴そのものの影響よりも、着替えによって心拍数や血圧が上昇した事が分かります。

血圧の高い人や高齢者は、入浴中だけでなく着替えのときにも注意が必要です。

脳の血液循環

お湯の温度と脳の血の循環との関係

入浴すると、新陳代謝が高まり、発汗がふえるなどで体内の水分が減ります。

このとき、血液が濃縮して血液粘度(粘りけ)が高くなります。

血液粘度が高いほど脳の中の血液量が減り、“頭に血がよどむ”状態になってしまいます。

 

脳の断面

血液粘度が低いときの脳の断面図

脳の中の血液の流れが増えている。

(黄色い部分)

血液の流れもスムーズになる。

血液粘度が高いときの脳の断面図

脳の中の血液量は減っている。

(青い部分)

頭に血がよどんだ状態になる。

この血液粘度は、高い温度のお湯に長時間入るほど高くなりますので、

血液粘度を低く保つためには、ぬる湯入浴がいいでしょう。

また、入浴前後に水分補給する事も大切なポイントです。

湯ざめ

 

湯冷めしたくない人は、40℃のお湯に10分以上つかる!

寒い外から自宅に帰ったら、まずお風呂に入って冷えきった体を温めたいものですね。

この時、熱い湯の方が体は温まりそうに思いますが、

実は熱い湯はかえって湯冷めしやすいというから注意が必要です。

例えば42℃のような熱いお湯だと、つかる時間も短くなりがちです。

そのため、体の表面しか温まらず、お風呂から出た後に体の熱が奪われやすいのです。

また、熱いお湯につかった後は汗をかきやすいので、結果として体を冷やすことになってしまいます。

だから、湯冷めしない為には、熱いお湯よりも、

40℃くらいのお湯に10分以上つかるのが、体も芯から温まるのでお勧めといえます。

湯冷めを防ぐタイプの入浴剤も合わせて使えば、さらに効果が期待できます。

なお、42℃のような熱いお湯での入浴は、血圧の上昇をはじめ、

心肺系への負担が大きいことも知られていますので気をつけてください。

高温での長湯は絶対に避けてくださいね。

安全な入浴法

熱い湯に入って体に良いことは、ほとんどありません。

(1)42度以上の湯に入らない

(2)アルコールは利尿作用を促すので飲酒後入浴しない

(3)入浴前後に水分補給する

(4)つかるのは胸まで

(5)脈拍、血圧、呼吸数などが変動しやすい朝の入浴は避ける

入浴の目的は、身体を洗浄することだけではありません。

毎日、時間や仕事に追われている人にとって、もっとも身近なリラックスを得る手段です。

入浴を、休養の一つとしてぜひ考え直してみましょう。

ただ、気分転換や疲れをとるための入浴でも、身体には負担となることもあります。

自分の健康状態にあわせた入浴を心がけましょう。

                                                  

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