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 生理痛について 

 

現代医学の発展は日進月歩にもかかわらず、生理適齢期の女性が悩む

生理前後の多くの諸症状は依然として解決されないままです。

その中、もっとも深刻で悩ましいのは生理痛といえます。

生理痛は女性の生活や社会活動に影響を与えるだけではなく、

これを放置すると不妊症等の原因となる場合があります。

 

平成2年厚生省主催の研究会の調査によりますと、生理期間における不快症状は、

生理前では腹痛45.5%、腰痛31.6%がみられます。

生理中では腹痛67.3%、腰痛46.3%が多くなっています。

生理痛について、非常に苦痛という人22.6と多く、

一方、生理痛のない人はわずか11.8%となっています。

 

生理痛とは

生理痛とは、生理期間及びその前後に起こる

腹痛、腰痛や頭痛などの痛みや苦痛症状のことをいいます。

市販の薬を飲まなくても我慢できる程度のものから、

処方された鎮痛剤を飲んでも痛みが収まらず、

じっとしていられないほど痛むものまで、個人差が随分あります。

また、吐き気、全身の倦怠感、乳房緊満感、いらいら、うつなどの付随症状を伴ったり、

症状が重く、何らかの治療が必要とされる場合は、月経困難症として捉えられます。

生理痛の症状

生理痛及び生理痛の付随症状として以下のようなものがあげられます

腹痛、腰痛、頭痛、肛門痛、排便痛、背部痛、吐き気、嘔吐、不正出血、乳房緊満感、

全身の倦怠感、イライラ、うつ、胸やけ、下痢、便秘、冷や汗、発熱、むくみ、ニキビなど。

これらの症状は、ある人もいれば、ない人もいます。

また、ある人の中でも、症状が強い人もいれば、弱い人もいます。

生理痛のメカニズム

生理痛は子宮内膜がはがれるために起こるものではなく、

はがれた子宮内膜を押し出すために子宮が収縮することが原因です。

これは生理のときに、子宮内膜で分泌されるプロスタグランディンというホルモンによって起こります。

子宮はスポイドが吸い込んだ水を出すように収縮するのです。

この収縮を促すのが、プロスタグランディンという女性ホルモンです。

このプロスタグランディンの分泌量が多すぎると、子宮が強く収縮し過ぎて生理痛がひどくなります。

このプロスタグランディンは、出産の時に多量に分泌され、子宮収縮の波を起こします。

生理痛は軽い陣痛みたいなものなんです。

プロスタグランディンは子宮を収縮させて経血をスムーズに排出させる作用のほかに、

全身の血管を収縮させる働きもあります。

そのせいで全身の血行が悪くなって・・・

腰痛や肩こり、頭痛、足腰が冷える、手足のしびれ、むくみなどの症状が起こります。

さらにプロスタグランディンは胃腸の蠕動運動を亢進させるので、

吐き気や胃痛、腹痛、下痢も起こってきます。

生理前は黄体ホルモンの働きで便秘がちになります。

生理前は便秘気味で、生理が始まると下痢になるというのは、

この黄体ホルモンとプロスタグランディンの作用によるものなのです。

喫煙も血管を収縮させて血行が悪くなるため、痛みが強くなります!

以上のような生理痛の症状がひどく日常生活に支障をきたすような場合は「月経困難症」とよばれます。

生理痛の分類

何らかの治療を必要となる生理痛(月経困難症)の場合、

臨床上、原発性(機能性)月経困難症と続発性(器質性)月経困難症の2つの種類に大分されます。

 

原発性(機能性)月経困難症

子宮をはじめとする生殖器及びその周りの内臓に痛みを引き起こす原因となる器質的病気がない場合で、

冷えやストレスなどを起因とする

血行不良や内分泌のアンバランスが原因で起こる生理痛のことを言います。

また、若年期において子宮の発育が未熟で、

月経血がスムーズに排出されないために痛みを起こすケースもよくあります。

原発性(機能性)月経困難症は、初潮から20代前半まで発症することが多く、

結婚や出産に伴い、次第に改善ないし解消されます。

また、生理痛の程度に波があり、ひどい時とそうでない時があり、

生理の初日あるいは二日目まで痛みを感じ、

生理の後半になると痛みがなくなるケースがほとんどです。

 

続発性(器質性)月経困難症

子宮をはじめとする生殖器及びその周辺の内臓に痛みの原因となる気質的病変が存在する場合、

つまり、子宮筋腫、線筋症、子宮内膜症、卵巣嚢腫、骨盤内炎症などの

病変が原因で起こる生理痛のことを言います。

この場合は、30代や40代に発症することが多く、

生理が来る度に痛みが伴い、しかも、次第に悪化する傾向があります。

また、生理痛は生理時だけではなく、生理前あるいは生理後にも見られ、

痛みの持続期間が長いのが特徴です。

生理痛の原因

生理痛を引き起こす原因がさまざまですが、その原因を以下のようにまとめることができます。
1.
 子宮頚管が狭く、経血の排出がうまくいかないことによる生理痛。
2.
 子宮の発育が未熟なため、血液の供給不足や酸素不足が起こることによる生理痛。
3.
 子宮の位置が異常で、子宮が極度に前或いは後に曲がることにより、経血がうまく排出できないことによる生理痛。

精神的なものが原因

による痛み

○過労やストレスによる痛み

精神的ストレスや緊張などで交感神経が異常に優位に働き、血管や子宮の平滑筋の過度な収縮が起こり、子宮への血液の供給不足や酸素不足をもたらすことによる生理痛。

過労やストレスは、激しい生理痛をまねくことがあります。

○神経的要素で痛みに過剰敏感による痛み

生理は痛いものという思いこみが引き金となるケースも。

不規則な生活をあらため、精神的にも肉体的にもリラックスすることで、痛みは和らげられます。

出血困難による痛み

若い女性や出産未経験の女性は、子宮頚管が細く、スムーズに出血しない場合があります。内膜を排出するために子宮収縮が続き、痛みはいちだんと増しますがこの症状は病気ではなく、出産を経験することで軽くなるケースもあります。

生活習慣や食習慣

の原因による痛み

1. よく冷たいものを食べたり、飲んだりすることによって内臓の冷えが起こり、筋肉(特に血管や内臓の平滑筋)の収縮力が強く、経血の流れが不良となることによる生理痛。
2.
 生理期間に激しく運動したあと、風、寒さ、湿気などの影響を受け、体を冷やしてしまい、筋肉(特に血管や内臓の平滑筋)の異常収縮を起こし、子宮への血液の供給不足や酸素不足をもたらすことによる生理痛。

不規則な生活・

過激なダイエット

が原因による痛み

○ホルモン分泌のアンバランスによる痛み内膜を排出するために、プロスタグランジンという子宮収縮ホルモンが分泌されます。分泌量が異常に増えると、これに対して子宮の平滑筋が過敏に反応し、収縮することによる生理痛。

また、このホルモンは腸の機能を活発にするので、生理が始まると同時に便秘を解消することもあります。

○病気が引き起こす痛み子宮をはじめとする生殖器およびその周辺臓器に病気が存在することによる生理痛。これらの病気は、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮線筋症、卵巣嚢腫などがあげられます。これらの病気により、子宮の平滑筋の血管が圧迫され、血液の供給やホルモンの運搬がうまくいかず、生理痛が起こるケースが多いです。

子宮筋腫は、出血量が増え、痛みも激しくなります。子宮内膜症も、年々痛みが強くなり、時には鎮痛剤などが効かないこともあります。

骨盤の歪みによる痛み

骨盤の歪みによって卵巣につながる自律神経の働きが悪くなったり、または子宮を圧迫し血流を悪くしていることによる生理痛もあります。

遺伝的要素による痛み

母親の生理痛体質になんらかの関係があるという説もあります。

生理痛のタイプ

本来は、生理のとき「痛みがない」のが普通なのです。

下腹部のあたりが重い、腰がなんとなくだるいという程度ならいいのですが、

強い痛みがある場合は何か体の異常を示すサインとみなします。

 

あなたにあてはまる下記の3つの症状から生理痛の原因を理解して快適な生活を手にいれましょう。

 

あなたはどのタイプ?

★冷えタイプ  (血液がドロドロ)

★ストレスタイプ  (イライラするなど)

★貧血タイプ  (血液が不足)

 

1、冷えタイプ

(血液がドロドロからくる血行不良による生理痛)

血液ドロドロ、冷え性タイプで生理痛に苦しんでいる人は相当いらっしゃいます。

体を冷やすような生活習慣や食習慣が原因で、

血管や内臓の平滑筋が縮む力が強くなることによる血行不良のタイプです。

体を温めれば痛みが軽減となり、お腹周りや手足の冷えがひどく、寒がりや吐き気などの症状がよくあります。

このタイプの生理痛の改善と解消は、まず体を冷やすような不良習慣を見直すことは前提とします。

血液がドロドロだとこんな症状があります。

・生理痛がひどく、生理が始まると痛くなる。

・特にいちばん出血の多いときに痛みがひどい。

・生理の血の色がドス黒く、粘りがあり、レバー状のかたまりがある。

・肌のシミ、ソバカス、くすみが気になる

・目のまわりのクマ、唇や歯ぐきの色が黒っぽい。

・慢性的な頭痛、肩こりに悩まされている。

血液ドロドロ冷え性タイプの人は血行が悪くなり、子宮内膜がはがれにくくなっています。

このはがれたときの痛みが生理痛となって感じています。

血液をサラサラにするとともに内膜をつくる血液の質を改善する必要があります。

血液ドロドロタイプの人は血液をサラサラにする事がおすすめです。

2、ストレスタイプ

(イライラ・ストレスからくる血行不良による生理痛)

ストレス溜まることによって交感神経が過剰に働き、

血管や子宮の平滑筋の異常収縮を起こしてしまうタイプです。

胸焼け、乳房緊満感やいらいらを感じることが多いです。

この場合、まず、原因となるストレスの解消は肝心です。

下記の症状に心当たりはありませんか?

ストレス、イライラタイプはこんな人です。

・生理前にイライラ、精神的落ち込み、胸が張ることがある

・生理前にニキビや肌荒れが起こりやすい。

・生理周期が早かったり、遅かったり、不安定。

・お腹が張る。よくゲップがでる。

・肩や首がこる。

・たまに不眠や過食になる。

ストレス、イライラタイプの人は自分で気づいてないうちに他人にあたっていることが多いようです。

生理前などご主人や彼氏などに聞いてみてください。

ゲップがでたり過食になったりするのもストレスの関係です。

3、貧血タイプ

(血液不足からくる血行不良による生理痛)

血液不足からくる生理痛には下記のような症状があります。

・乾燥肌で顔色や唇が白い。

・貧血気味。

・生理周期が大きく遅れる

・生理は以前より短い日数で終わる

・経血の色は薄い赤色。サラサラしている。

・生理の終わりごろから終わったあとに腰やお腹が痛い、重い。

これらのタイプは単独の場合もありますが重複しているケースがほとんどです。

血液不足、貧血タイプはほとんどの女性が当てはまります。

なぜかというと生理のとき出血するからです。

子宮内膜をつくるのに1ヶ月かけて食事から吸収した栄養を少しづつ血液や内膜に変えていきます。

しかし生理では57日の間に大量の血液を失うのです。

ですから、貧血や立ちくらみが起こるのです。

またなんともない人でも乾燥肌や髪の毛のパサつきなどは女性なら誰もが持つ悩みです。

 

エネルギー不足による血行不良

血液をよく流すためのエネルギーが不足していることによる血行不良のタイプです。

倦怠感が強く、経血の量が少なく、同時に食欲不振や胃もたれが伴うケースが多いです。

このタイプの場合、まず、普段の適量な運動による体力づくりに心がけることは重要です。

  

発熱による血行不良

熱により水分の消費が多く、血液どろどろになってしまうことによる血行不良のタイプです。

経血の色が濃く、レバー状の固まりがあり、腰痛を伴い、微熱があるなどの症状がよく見られます。

このタイプの生理痛を治療するために、解熱や水分の補充は肝心です。

生理中の過ごし方

その他

充足な睡眠時間の確保(7時間)

性生活過多にならない

食事の栄養バランスに注意、などなど。

これらの対処法を普段の生活の中で活用すれば、

ほとんどの生理痛への改善解消効果が期待できるといえます。

人によって生理痛の成因や体質などが異なりますので、自己責任の下でご利用ください。

ここでの生理痛の自己ケアとは、薬やメスなどを頼らず、

身体の自然治癒力を向上させることを目的とする対処方法をいいます。

主に生活習慣や食習慣の見直し、適量な運動、腹式呼吸法などがあげられます。

 

ストレスや疲れを

ためないように

過酷な労働や運動を避け、規則正しい生活を維持し、できるだけストレスが溜まらないように心がけることが、精神的原因による生理痛を解消改善するためのベスト策といえます。

食習慣に気をつけるように

冷たい食べ物や冷たい飲み物など体を冷やす食物をできるだけを避け、体を温める食材を積極的に摂るのも大切です。

また、子宮の平滑筋の過剰反応を引き起こすプロスタグランジンというホルモンの原料は食物の中に含まれる脂肪ですので、プロスタグランジンの過剰分泌を抑えるためには、その原料になるサフラワー油、紅花油、ひまわり油に多く含まれるリノール酸の摂取を控える必要があります。具体的には、魚を多く食べ、揚げ物を減らすことが重要です。

体を冷やさないように

冷房の強い環境や温度差の激しい環境を避け、体を温かくすることで生理痛は軽くなります。季節や体調に応じて適切な服装を選び、下着の重ね着などで下半身と腰周りはしっかりガードして、体を冷やすことを避けるような注意が必要です。

ただし、使い捨てカイロを貼る場合は、低温やけどに気をつけて。

お風呂はいつもの通りに

生理は病気ではありません。お風呂には毎日入って、外陰部はいつも清潔にしておきましょう。また、シャワーばかりではなく、40〜42度くらいの温度での入浴は、 体を温め、生理痛の改善に役立ちます。ただし、温泉や共同浴場などでは湯船に入らないのがエチケットです。

体は適度に動かすように

生理中だけでなく、日頃から血行をよくするためにウォーキング程度の習慣はつけたいもの。生理痛が激しくなければ、スポーツで汗を流すのもOK。下半身のストレッチや足のマッサージも、こまめに続けてみましょう。

有効な有酸素運動を適量に行い、基礎代謝を上げ、良い血液循環を保つことは生理痛の改善へのプラスの影響が期待できます。

お腹は圧迫しないように

お腹を締めつけるガードルやスリムなジーンズは、血行を悪くするので避けましょう。便秘も、臓器を圧迫するので骨盤の鬱血を引き起こします。生理中は、精神的にも肉体的にもゆったりを心がけるようにしましょう。

鎮痛剤の利用はほどほどに

どんな薬にも副作用があります。薬に頼るのではなく、薬とうまく付き合う方法を考えましょう。仕事中や外出中など痛くなってはいけない場面で、ポイントを押さえて上手に利用するのがベストです。なお、鎮痛剤を飲んでも生理痛がおさまらない場合は、子宮内膜症の可能性があります。

痛みの元のプロスタグランディンは生理の一週間前から出ているので、痛みが起こってから鎮痛剤を飲んでも効かないことがあります。 生理の23日前から飲むことでうまく痛みをコントロールできる場合があります。しかし、痛みがひどい場合は、病気などが引き金になっていることも考えて、婦人科を受診するように してください。

足浴を日ごろからこまめに

378度のお湯に膝ぐらいまで浸かると、足はもちろん、腹部や頭部の血液循環までもが改善。体全体が温まることで生理痛も和らぎ、リラックスして過ごすことができます。足浴にかける時間は、1520分程度が目安です。

腹式呼吸法を覚える

腹式呼吸法は人体自身の自然治癒力の向上を主眼するもので、以下の効果で生理痛に対する解消あるいは改善効果が期待できます。自律神経のバランスの調整腹式呼吸の意識的なリズム運動によってセロトニン神経の分泌が促進され、生理痛の原因となるストレスの解消につながります。また、自律神経の中枢である視床下部の働きが正常になれば、ホルモン分泌のバランスの改善にプラスの影響を及ぼす効果が期待できます。

血液循環の改善自律神経のバランス調整により、自律神経によってコントロールされている血管や子宮の平滑筋の動きが正常になります。これによって血流が改善され、経血がスムーズに排出されることによって、生理痛が解消される可能性が十分あります。

 

生理痛の治療法

 

生理痛には様々な原因があるため、その原因を見極めて適切な対処法や治療法をする必要があります。

 

西洋医学的治療法

 
1.
 鎮痛剤や抗プロスタグランジン製剤の服用鎮痛剤や抗プロスタグランジン製剤

あくまで痛みを一時的に抑える対症療法で、生理痛の原因そのものを治すものではありません。

その中、副作用が大きいものもあります。

 

よく使用される市販の鎮痛剤

バファリンA、ペレタック顆粒、ナロンエース、ハッキリエース、セデス・ハイ、イブA

よく処方される鎮痛剤  ロキソニン、ボルタレン、リングルアイビー

2.
 筋弛緩薬の服用

子宮の平滑筋の収縮を一時的に和らげるための対症療法で、

生理痛の原因そのものを治すものではありません。

よく使用される筋弛緩薬  ブスコパン

3.
 精神安定剤の服用

ストレスによる生理痛を一時的に和らげるための対症療法で、

生理痛の原因そのものを治すものではありません。

よく処方される鎮痛剤  バランス、コントール、セルシン

4.
 偽薬精神的原因による生理痛に対する対症療法の一つです。

5.  ピル排卵抑制により、子宮内膜の増殖を抑えることによって、

プロスタグランジンというホルモンの分泌が抑えられ、間接的に生理痛の改善効果が期待できます。

 

※ 薬は 医師又は薬剤師にご相談のうえ、ご利用ください。

6.
 器質性病変の治療続発性(器質性)月経困難症における生理痛の治療は、

その原因となる器質性病変の治療に伴います。

                                                  

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