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 青少年の睡眠障害について

  

青少年の睡眠障害

あなたのお子さんは「寝不足」ではありませんか?

3歳児の半数以上は夜10時以降まで起きている

最近は、24時間営業のコンビニエンスストアに加え、デパートやスーパーの営業時間も長くなるなど、社会の活動時間はますます延長しています。それに加え母親の社会進出も進み、家庭生活の時間も後ろ倒しになっているようです。
ある調査によると、3歳児の50%以上は10時以降まで起きていること、そして驚くべきことに、深夜12時までおきている子供も数%いるという結果が出ています。
これは、「早く寝かせて明日に備えなければならない」という親の意識が低いことの現われとも言えます。夜遅くまでだらだらと過ごす生活習慣は、子供達の慢性的睡眠不足を促し、身体的にも精神的にも健全な発達に悪影響を及ぼします。たとえ就園前の子供であっても、早寝早起きの習慣を守るよう、しっかりしつけることが大切です。
夜8時、9時になったら子供は寝る習慣は海外先進国では今も残っています。夜遅い時間は大人の時間として今一度見直すことも必要ではないでしょうか。

3歳児の半数以上は夜10時以降まで起きている

思春期は生理的に眠気が強くなる時期

小学校高学年から中学生にもなれば、「小さな子供ではないので睡眠時間は少なくても構わない」と誤解している方が大勢いるようです。これまでの研究で、第二次性徴が完成する前と後で、体が必要とする睡眠時間は同程度であること、また一方では、第二次性徴が進むにつれて生理的に眠気が強まることがわかっています。
ところが、こうした実情とはうらはらに、思春期にある本人たちは「○時間しか寝ていない」などと睡眠時間が少ないことを自慢したり、競ったりしています。大人ぶってみたい気持ちは理解できますが、体は睡眠を欲しているわけですから、これでは授業中に居眠りをしてしまうのも無理ありません。思春期には眠気が強まり、低学年の頃と同程度の十分な睡眠が必要であることを、親も子もしっかり認識しておきましょう。

思春期は生理的に眠気が強くなる時期

年齢とともに変化する睡眠と覚醒のリズム

生まれたばかりの赤ちゃんは、長い時間まとめて眠るということはなく、昼夜を問わず短い時間で睡眠と覚醒を繰り返します。これは、体内時計のはたらきがまだ不十分で、1日を単位とした睡眠覚醒のサイクルを作り出すことができないためです。以降、次第に体内時計がはたらき出し、1歳ごろからは1〜2回の昼寝と夜間の長い睡眠がとれるようになり、小学生になると昼寝もしなくなります。
一方、高齢者になると昼夜のメリハリが少なくなってきて、ちょうど幼児期に逆もどりしたような感じになります。また、青少年の睡眠パターンは成人とほぼ同じようにみえますが、実際は青少年の方が眠気が強く、睡眠を多く必要としていることがわかります。このように、睡眠と覚醒のリズムは年齢によって変化するものです。

<年齢とともに変化する睡眠と覚醒のリズム>

年齢とともに変化する睡眠と覚醒のリズム

寝る子は育つは事実!

睡眠には、体の眠りにあたる「レム睡眠」と脳の眠りにあたる「ノンレム睡眠」の2種類があります。ノンレム睡眠の時には、脳はお休み状態になっている代わりに、成長ホルモンをはじめとするさまざまな種類のホルモンを分泌したり、日中に食べた栄養を体に必要な形に合成したり、免疫機能を活発に働かせたりしています。昔から「寝る子は育つ」といいますが、眠っている間に脳や体が成長に必要な作業を行っていることを考えると、このことわざはまさしく真実を言い当てているのです。

昼夜逆転の生活を送っていませんか?

夜更かしのクセがついてしまい、早く寝ようと思ってもなかなか寝つけないといった症状に悩む若者が見受けられます。その多くは、受験勉強のために夜遅くまで頑張ったり、夏休みに深夜までテレビを見たりして、極端に夜型の生活を続けることが主な原因になっています。こうした夜型の生活を長く続けていると、学校や仕事に遅刻する、勉強や仕事に身が入らないなど、社会生活に支障が出るようになってきます。
青少年を中心に夜型人間が増えている現在、睡眠障害という病気を考える前に、まずは寝不足がないかどうかを考えてみましょう。

昼夜逆転の生活を送っていませんか?

徹夜勉強の効用は??

学生の中には、受験勉強や試験勉強などのために、徹夜で勉強するといったことが時にはあるかもしれません。若いうちは体力的にも自信があるでしょうし、勉強時間を確保するために睡眠時間を削りたくなる気持ちもわかります。しかし、徹夜明けには単純な計算問題でも極端に正答率が下がるという調査結果もあり、勉強の効率という点から考えると、かえって日中の思考力・記憶力が低下して逆効果になるケースの方が多いようです。また、一度睡眠をとった方が寝る前に覚えた事を寝ないでいるより良く覚えている実験結果があります。覚えた事を脳の中に定着させるのに睡眠は重要な働きをしているのです。限られた時間に集中して勉強し、適切な睡眠をとってすっきりした頭で翌日に備える方がいいのです。

 

青少年で注意すべき睡眠障害

睡眠相後退症候群

夜間人間は要注意

思春期から青年期にかけての若者に比較的多く見られます。夜更かしを続けたことがきっかけとなり、睡眠のリズムをつかさどる体内時計がうまく調節できなくなってしまったことによっておこります。本来眠るべき時刻に寝つくことができず、眠りにつく時刻が遅くなったままの状態が1ヶ月以上続く場合、睡眠相後退症候群と診断されます。
睡眠相後退症候群になると、本人の努力や生活の工夫だけでは、睡眠のリズムが元に戻りませんので、専門医による治療が必要となります。治療法としては、高照度光療法や時間療法などが行われます。

睡眠相後退症候群  ―夜型人間は要注意!

睡眠時無呼吸症候群

扁桃腺肥大も原因の一つ

大きないびきをかく人の中には、少なからず「睡眠時無呼吸症候群」という重大な病気がかくれていることがあるので注意が必要です。この病気になると、眠っている間にしばらく呼吸が止まる状態が一晩に何度も起こります。睡眠中は筋肉の緊張がゆるむので、ふつうでも上気道が狭くなるものです。ところが、太っている人や扁桃腺が肥大している場合はさらに狭くなってしまうため、しばらく呼吸が止まり、呼吸を再開するたびに大きないびきをかくことになります。この病気は、肥満気味の中年男性に多いと言われますが、子供にもみつかるケースが少なからずあります。いびきが大きい時には扁桃腺の肥大を調べてみましょう。就寝中の本人は全く気づかないので、家族が気をつけて様子をみてください。
睡眠が不十分な為に成長ホルモン分泌が低下したり免疫能が低下して風邪をひきやすくなったり弊害も多いのです。

睡眠時無呼吸症候群 ―扁桃腺肥大も原因の1つ

むずむず足症候群と睡眠周期性四肢運動障害

落ち着きがない子は注意

ふとんに入ってウトウトと眠りかけたころに、ふくらはぎや足底のあたりがムズムズして眠れなくなる病気を「むずむず脚症候群」といいます。「虫が這うような感じ」「痛がゆい」「ほてった感じ」など、色々な表現がされます。足を動かすことで症状はおさまるのですが、毎日続くようでは熟睡できません。
また、これと似たもので、寝入りばなに下肢の筋肉がピクッピクッと周期的にけいれんする「睡眠時周期性四肢運動障害」という病気があります。本人は気づいていないことも多いのですが、熟睡できないことに変わりはありません。この2つの病気は子供にも多くみられ、症状が日中の眠気というよりも、落着きのなさとして現れるため「注意欠陥多動児」として処理されてしまうことがあります。落着きのない子供に対しては、医師の診察を受けて、これらの病気の有無を診断してもらうことをおすすめします。

ナルコレプシー

所構わず居眠り

ふつうでは、まず眠るような場面ではないのに、突然強烈な眠気におそわれて本当に寝入ってしまう「ナルコレプシー(居眠り病)」という病気があります。試験中でも面接中でもデートの最中にも、この睡眠発作が起きて眠ってしまうのです。おそらく、想像を超えた強い睡魔が襲うものと思われます。この病気では、笑ったり驚いたりした時に、一瞬から数分の間、全身あるいは体の一部の力がぬける発作(情動発作)が起こるのが特徴です。さらに、入眠時に幻覚をみたり、金縛りにあったりといった症状も経験されるようです。よいお薬がありますので、こうした症状が見受けられる場合には病院で治療を受けましょう。

ナルコレプシー -ところかまわず居眠り

 

不眠解消のポイント

生活習慣から見直そう

人間の体は、日中に活動し、夜は睡眠を取るように作られていますので、快適な日常生活を送るためには、その生体リズムに合った生活が基本となります。コンビニエンスストアに夜遅く出入りする青少年を目にしますが、店内の照明は約3,000ルクスとも言われ、その光を浴びて体内時計が狂ってしまうこともめずらしくありません。成長期にある青少年にとって、正しい睡眠は心身の成長に欠かせないものであり、また十分な睡眠があるからこそ、日中の活動も思い切りできるのです。
中学生・高校生ともなると子供も自分の世界を持ちたがるようになり、親の介入する場面が減少してきますが、せめて中学前半までは親が子供の生活習慣に関心を示し、十分な睡眠と活発な活動が保てる生活習慣を身に付けられるよう助言をしていきたいものです。

まずは生活習慣をみなおそう

睡眠には個人差がある

自分にとって適切な睡眠時間を確保しましょう

誰でもぐっすり眠った翌朝はとても気分がいいものです。十分な睡眠は脳と体の両方に休息を与え、健康で快適な生活の基本となっています。また「寝る子は育つ」といわれるように、眠っている間に脳や体の成長に必要な作業が行われていることは科学的にも証明されており、特に子供や青少年には十分な睡眠が必要不可欠といえるでしょう。
ただし、この十分な睡眠というのは質の問題であり、必ずしも時間の問題ではありません。睡眠時間の少ないことを競いあったりするのはもってのほかですが、時間の長さに神経質になり、かえってストレスになるということもあります。個人個人で、その人に適した睡眠時間はちがいますので、他人との比較ではなく日常の体調からあなたにとって適切な睡眠時間を確保することが大切です。

体内時計をリセットして、昼と夜のメリハリを

人間の体の中には体内時計があって、睡眠のリズムをコントロールしています。この体内時計のはたらきによって、日中には活動するにふさわしい状態に、夜には眠気がおとずれるようになっています。ここで重要なのは、体内時計が、体が浴びる太陽光によって朝を感知し、そこから1日のリズムが開始されるということです。通常であれば、その14時間後にメラトニン(眠るための準備をするホルモン)が分泌され、その後2時間後に眠くなる仕組みになっています。ですから、朝起きた時にきちんと太陽光を浴びて体内時計をリセットしましょう。また、休日であってもなるべく平日と変わらない時刻に起床するようにし、体内時計が狂わないよう努力しましょう。

体内時計をリセットして昼と夜のメリハリを

空腹も満腹も睡眠の敵

朝食・昼食を大切に、夜は消化の良いものを少量

心地よい眠りを得るためには、日中に脳と体をしっかりと働かせることが大切です。その活動を支えるエネルギーを確保するために、朝食時と昼食時に栄養をたくさんとる必要があります。日本では1日の食事のうち夕食に最も重点をおく習慣がありますが、本来は朝・昼食を大切にすべきなのです。また夕食をとる時刻があまりに遅いと、消化が十分でないうちに寝ることになり、胃腸が消化のために働いて睡眠の妨げとなります。食べ物を消化するためには2時間ほどかかるので、睡眠の2時間ぐらい前には食事を終え、ボリュームのあるものは避けた方がいいでしょう。しかし、お腹がすき過ぎてもイライラして寝つけないものです。そんな時はホットミルクなど消化の良いものを少量摂って休むようにしてください。

空腹も満腹も睡眠の敵  ―朝食・昼食を大切に、夜食は消化の良いものを少量

 

Q&A

思春期の子供が昼夜逆転になってしまっているのですがどう対処すればよいですか?

これは時差ぼけと似ていて、睡眠のリズムがずれてしまっている状態です。体内時計は朝起きて光を浴びた時刻が出発点となって時を刻みます。まずは1週間かけて、起床時刻を1時間早めてみましょう。その時強い太陽光を浴びて、脳に朝の訪れを認識させてください。それがうまくいったら、また1週間かけてさらに1時間早く起きてみましょう。そのように1週間単位で起床時間を早めることにより、少しずつ寝つきが早くなるはずです。この方法を試してみて、うまくいかない場合は専門医に診てもらいましょう。また、こうした方法を入院して行うのも1つの方法です。

子供が昼寝をしなくて困っているのですが

昼夜関係なく数時間ごとの授乳のほかはほとんど寝ていた赤ちゃんも、1歳ごろになると昼間は1〜2回の昼寝をする程度で、夜まとめて睡眠をとるようになってきます。就園前は、昼寝をする子供が多いのは事実ですが、3歳児でも10〜15%の子どもは昼寝を全く取らないそうですし、1歳半の子が全く昼寝をしないという例もあります。昼寝をしない子どもたちが比較的早起きであるという傾向はみられますが、昼間元気に遊んでいるのであれば、睡眠は十分取れていると考えていいでしょう。昼寝は必ずなくてはならないというものではないのです。幼児期に限らず、睡眠の取り方、睡眠時間には個人差が大きいので、体調が良いようであれば、睡眠状態に問題はないと考えましょう。

                                                  

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