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 和食離れ

 

昭和30年代以降の食生活の多様化で、長期的に《和食離れ》が進行しています。

といってその多様化が世界中どこでもそうなのかというとそうでもなく、

イタリア人などは3食イタリア料理を食べています。

日本でイタメシ・ブームだといっても3食イタリア食のひとは少ないでしょう。

やはり日本人は、世界でも例外的なレベルで和食から離れていっているようです。

実例でいえば、和食の中心であるコメの消費量が、40年前の約半分にまで落ち込んでいます。

食の嗜好は、2歳前後から小学校入学のころまでの食生活で刷り込まれるというのが定説ですが、

なぜか日本の子どもに限って、和食よりハンバーガーやピザを好むし、

親も子どもを喜ばせようとすればなぜか味の濃くてカロリーも高い食事(和食の対極にあるもの)を出しがちです。

お子さまランチも例にみても洋食がほとんどであります。

これでは、若い女性で顕著といわれる和食離れも仕方がないですね・・・。

日本は、子どもの喜びそうな和食を開発せねばならないですね・・・。

日本とはうらはらに、欧米のみならず東南アジアなどでは、

健康面への配慮から《和食ブーム》がおきているというのに・・・。

日本でも粗食ブーム、和ブームがやって来ますが、このとおり、

子どもに和食を楽しませる戦略を練らない限り、根本的な巻き返しは無理でしょう。

ここ約30年ほどの間に洋食化や外国料理と和食の融合化が急速に進行し、

日本のいわゆる伝統食が家庭において伝承されることが少なくなりました。

今日の豊かな食生活時代の到来と共に、

健康と密接に関わりのある『食』についての情報の量もどんどん増えています。

食品に含まれる栄養素に着目した考え方は『栄養素主義』と呼ばれますが、

その情報はテレビ・本・インターネットなどに氾濫していて、本当にきりがありません。

ある栄養素の良いところ・悪いところをそれぞれ強調されると、

食べたら良いのか控えたら良いのか混乱したということを経験された方は少なくないのではないかと思います。

栄養素に基づく栄養バランスについては当ホームページの『バランスのいい食事って?』ページでも取り上げています。

「栄養素を考えて食事をするのが科学的で正しい」という考えに基づくものですが、

実際に毎日それぞれの栄養素をバランス良く130品目選択というのはなかなかきつく、

忙しい現代人の生活においては難しいというのが現実です。

毎日栄養素やカロリーをきちんと計算した上で食事を摂れれば理想的ですが、

より手軽に栄養バランスのとれた食事をとる方法はないだろうか・・・

これまで長年行ってきた栄養指導を踏まえると、その方法の1つとして、

伝統的日本型食生活を見直し、それを毎日の食生活にできるだけ取り入れていくことだというのが結論です。

 

当ホームページで取り上げている通り、食生活などの生活習慣によって多くの病気が発症します。

これらの治療の一環として栄養指導も欠かせません。

臨床上からも、日本型食生活に改善することによって病状の改善を認めてきました。

あれこれ栄養素のことを考えなくても、伝統的な日本型の食生活を取り入れれば

日本人に合った栄養バランスのとれた食生活が送れることが分かっているのです。

 

和食は究極のバランス食

今日の日本ではあらゆる国の料理を食べることができます。

しかし、和食という脂肪の含有量の少ない多様な副食と、

米という炭水化物を中心とした主食文化をはぐくんできた日本人にとっては、

決して良くなったとは言いがたいものがあります。

なぜなら、和食を食べ続けてきた私たちの体は、

和食だからこそ効率よく代謝できるような代謝システムを先祖から受け継いでいるからです。

                      

日本人は、数千年にもわたり穀物と糖類から炭水化物と植物性タンパク質を摂り、

魚介類からは動物性タンパク質とEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)

などのオメガ3系と呼ばれる脂質を、

そしてさまざまな野菜や果物およびお茶からビタミンやミネラルを摂り、

さらに微生物をうまく利用して味噌や醤油をはじめとする発酵食品を作り出してきました。

 

和食は栄養学的にみても究極のバランスを備えていて、世界でも有数の成熟した食文化といってよいでしょう。

自然に恵まれた豊かな環境があった日本ならではの食文化といえます。

 

このように和食という食文化こそ、日本人が世界一の長寿国とされる最大の理由ともいえますが、

戦後の欧米文化の流入とともに欧米食の一見豪華で華やかな料理に、

日本人の食生活は一気に欧米化してしまったのです。

しかし、欧米食に順応できない、日本人に特有の遺伝性や代謝システムが

生活習慣病という弊害を生みだしているのです。

日本人特有の遺伝性と代謝システム

1、腸が長い

日本人の腸が欧米人に比べてはるかに長いのは、

消化しにくい穀物からしっかりと栄養素を吸収するのに適しているからです。

 

2、乳頭を分解する酵素の活性が低い

牛乳を飲むと腸がゴロゴロする乳頭不耐症の人は日本人に多い。

 

3、インスリンをゆっくりと分泌する

消化しにくい穀物を中心とした炭水化物を多めに取ることを宿命とせざるを得ない

 

4、「倹約遺伝子」を日本人の4割近くの人が持っている

日本人は遺伝的に太りやすく、やせにくい体質の人が多い。

 

5、農業を捨てた農耕民族のカロリー消費量の低下

筋肉労働から頭脳労働への移行により、運動量の減少。

伝統食とは?

一汁三菜

和食、という言葉を見たり聞いたりすると、なつかしく、心がほっとしませんか。

まだまだ祖母や母がつくってくれた味がこれだったと記憶されている人は多いと思います。

外国旅行が長くなると故郷の味が懐かしくなり、洋食好きの人でも

おにぎりやみそ汁・つけもの・お刺身・納豆・梅干し・海苔・鍋料理などが食べたくなったりするものです。

 

では「伝統食」(または「和食」)とは何でしょう。

これを一言で表す『一汁三菜(いちじゅうさんさい)』という言葉があるのをご存知ですか。

この組み合わせで加工品は出来るだけ少なく、

また旬の食材を取り入れることによってより栄養バランスが良くなります。

 

ごはんで健康

たんぱく質〜 6.1g体をつくる
炭水化物(食物繊維含む)〜77.1gエネルギーのもとになる
脂肪〜 0.9gエネルギーのもとになる
水分〜15.5g
その他(ビタミンなど)〜 0.4g体の調子を整える
ごはんで健康

たんぱく質 3.8g牛乳111ml と同じ
脂   質 0.5g食パン1枚と同じ
炭水化物  55.7gジャガイモ3個と同じ
カルシウム 5.0mgごま1.2gと同じ
鉄   分 0.2mgほうれん草1〜2枚と同じ
ビタミンB 10.03mgキャベツの大きい葉1枚と同じ
食物繊維  0.5gりんご1/3と同じ
      
      茶碗一杯252kcal(150g)

   
  ケーキ約半分の   ラーメン約1/3の
  カロリーと同じ    カロリーと同じ

身体が求める栄養 (まごわやさしい)

伝統食の基本は『米+まごわやさしい(おかず)』と発酵食品を組み合わせることと覚えましょう。

お米はできるだけ未精製の胚芽米などを取り入れましょう。

これに素材の頭文字をとった『まごわやさしい』のおかず

(ま=豆類、ご=ごま、わ=わかめ(海藻類)、や=野菜、さ=魚、し=しいたけ(きのこ類)、い=芋類)

を組み合わせておかずを作ります。

この組み合わせによって、自然に体が求める栄養素が正しい割合で摂取できるのです。

理想は豊富な種類の穀物・豆類・根菜類を1600800g

豊富な種類の野菜果物を1600800g摂ることです。

 

また、豆を使った味噌・納豆・しょうゆなどの発酵食品は

微生物の力によって保存がきくように作られ、もとの食品よりも栄養状態が更によくなります。
 

以下に『まごわやさしい』素材の代表的な食品の栄養成分表を載せておきます。

一食分の量でグラフ化しました。

組み合わせることによって、まんべんなく必要な栄養素が摂取できることが分かるかと思います。

 

上記のデータを見やすいようにグラフにすると以下のようになります。

 

 

 

 

 

 

 

まごわやさしい」にも出てくる、栄養的におすすめの食材について簡単に栄養的な説明をしましょう。

○「納豆」○

(「ま=豆類」)について・・・ネバネバのもとはナットウキナーゼ

納豆は、蒸した大豆に納豆菌を加え発酵させ醸成したものです。

納豆のねばねばのもとはナットウキナーゼといい納豆菌が作り出す酵素です。

これには脳梗塞や心筋梗塞の原因となる血栓を溶かすという働きがあります。

納豆にもビタミンが多く含まれ、納豆1パックにはビタミンKが所要量の7.8倍も含まれます。

ビタミンKはカルシウムを吸収しやすくし、骨にくっつける働きがあります。

牛乳摂取量の多い外国に比べて摂取量の少ない日本において、

骨折の発生頻度が少ない理由に納豆の摂取があげられています。

2回食べることは骨粗しょう症の予防につながります。

他に納豆に多く含まれるものは

★ビタミンE(⇒血行促進・老化防止・抗酸化作用)

★ビタミンB(⇒肩こり・肌荒れ防止)

★リノール酸(⇒動脈硬化防止)

★納豆菌(⇒腸内善玉菌増加)などが挙げられます。

 

○「ごま」○

(「ご=ごま」)について・・・有効成分はセサミン

ごまの代表的な有効成分はリグナン(⇒植物の茎・根・種子に含まれる食物繊維の代表)で、

特にごまに多く含まれるリグナンはゴマリグナンと呼ばれます。

リグナンの中にはセサミン・セサモ−ルなどがありますが、ごまに最も多いのはセサミンです。

 

セサミンには、

★抗酸化作用酸化作用が強力で肝臓の活性酸素を除去し肝機能を強める

★アルコ−ルの分解をすすめ二日酔いを防ぐ

★悪玉コレステロ−ルを減らし、善玉コレステロ−ルを増やす

・・・などの働きがあります。

ごまにはその他にビタミン・鉄・カルシウム・マグネシウムなども多く含まれ、次のような効力も認められています。

★鉄分が多く貧血を改善する

★非水溶性食物繊維が多く含まれ、便秘を解消する

★老化防止・抗癌作用(大腸がん、乳がんを抑える)がある

ごまを1日大さじ1杯(=約10g)とりましょう。炒ってすったほうが効果は大きいようです。

 

○「しいたけ」○

(「し=しいたけ」)について・・・有効成分はエリタデニン

しいたけのうまみ成分はエリタデニンといい、きのこのなかでも特にしいたけに多く含まれます。

エリタデニンは神経系に働き、

悪玉コレステロ−ルを減らして善玉コレステロ−ルを増やしたり、

血圧の上昇を抑えるという効力があります。

  

                                                  

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